「ヒタ・リー
〜 おば様は魔女」

ブラジル・ロック界にデビューしてはや40年、人々の日常をユーモラスに歌ってきたヒタ・リーは最も愛されるアーティストの一人だ。

本名Rita Lee Jones、1947年サンパウロ市生まれ。少女時代にクラッシクピアノのレッスンを受けるも、エルヴィス・プレスリーを聴いて即座にロックへ転向。高校生のときガールズ・バンドを結成し、60年代初頭のロック・シーンで活動をはじめる。65年にはブラジル・ロック創生期の異才アルナルド・バチスタ(後に二人は結婚、72年に離婚)と知り合い共にムタンチスを結成。サイケデリック・ロックとトロピカリズモ全盛期の60年代後半に「Ando Meio Desligado」や「Panis et Circenses」(カエターノ・ヴェローゾジルベルト・ジル作曲)などを歌ってヒットする。

ヒタは70年にファースト・ソロ『Build Up』をリリースしている。72年にムタンチス脱退、バンドTutti Fruttiを結成しメイン・ボーカルとして「Esse Tal de Roque Enrow」(今では世界的に有名な小説家パウロ・コエーリョが作詞)、「Agora So Falta Voce」そしてヒタの一番のヒットとされる「Ovelha Negra」(一家の落ちこぼれを歌った曲)などの代表曲をリリースしている。

77年にTutti Fruttiを解散し、ジルベルト・ジルとのコラボレーション・アルバム『Refestanca』(77)やソロ・アルバム『Jardins da Babilonia』(78)をリリースする。そして79年に現在の夫で同じくギタリストのホベルト・ヂ・カルヴァーリョが音楽パートナーになると二人で次々とヒット曲を生み出し、80年代の終わりまでキャリアの全盛期ともいえる時代を迎える。

この時期の曲は「Mania de Voce」、「Lanca Perfume」、「Saude」、「Flagra」、「Atlantida」、「On The Rocks」、「Desculpe o Aue」、「Caso Serio」、「Bwana」、「Virus do Amor」、「Baila Comigo」、「Chega Mais」、「Cor de Rosa Choque」など、いずれも当時の人々の日常に起こる様々なことについて歌って共感を呼び、人気を集めた。

90年代に入ると夫との音楽コラボレーションを断続的に解消し、ドラマや映画に俳優として出演するなど活動の幅を広げる。91年には数々のヒット曲をボサノヴァ風にアレンジした『Bossa'n Roll』が35万枚セールスを記録する。98年のアンプラグド・ライブ盤『Acustico』も大ヒット。2000年には女性シンガー、ゼリア・ダンカンと作った曲「Pagu」が反響を呼ぶ。この曲はエリス・ヘジーナの娘であるマリア・ヒタのデビューアルバム『Maria Rita』(03)にも収録されている。

2003年のアルバム『Balacobaco』では新曲「Amor e Sexo Amor e Sexo Amor e Sexo 」、「Tudo Vira Bosta」、「Ja Te Falei」、「Copacabana Boy」などが大ヒットし、新旧ファンを大いに喜ばせた。最新アルバムのライブ盤『MTV ao Vivo』(04)では夫ホベルト・ヂ・カルヴァーリョと息子ベト・リーのダブル・ギターも共演し、楽しい一家団欒ぶりまで披露してくれる。

おちゃめでコスプレ好きな魔女おば様は、もはやショー・ビジネスの世界を自由に浮遊しているのである。

♪代表曲
AMOR E SEXO AMOR E SEXO AMOR E SEXO
MEIO FIO MEIO FIO MEIO FIO
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