「ハウル・セイシャス
〜ブラジル音楽史のクールな反逆者」
ブラジリアンロック創生期の70年代に突如現われた異端児ハウル・セイシャスは、奇抜な音楽センスとアナーキーな考え方で一躍注目を集め、今日に至るまで、反逆者として永遠のシンボルとされている。
1945年バイーア州サルヴァドールに生れる。少年期は家に閉じこもって、読書をしながら空想の世界に浸っていたという。9才のときに初めてギターを買ってもらい、独学で弾き方を覚えるようになる。そして60年代にエルヴィス・プレスリーのアルバムに衝撃を受け、自らのロックバンドを結成。後に「ロックンロールの歴史はエルヴィスが徴兵されたとき終わった」と語ったように、エルヴィスからは音楽だけでなくその反逆者のイメージも引き継いだ。
当時、ボサノヴァやグループサウンズがトロピカリズモやサイケ・ムーヴメントへ移行しはじめていた音楽シーンにアルバム『Raulzito e Os Panteras』(68)でデビューを図るも、まったく反響を得ない。
しかたなくレコード会社CBS(現ソニーミュージック)でアルバム・プロデューサーとして働くが、ある時社長の長期不在の間にはスタジオを占領し仲間達と勝手にアルバムを1枚レコーディング、リリースまでしてしまう。アルバムはすぐさま回収されハウルはクビになるが、この件について後に「何かを創造したければ、決まり事をぶっ壊さなければならい」と彼らしく語って周囲を驚かせた。
この"事件"ををきっかけに、ハウルのキャリアは本格化する。72年に音楽フェスティバルにエントリーしたロックとバイアォン(北東部の伝統リズム)をミックスした「Let Me Sing, Let Me Sing」が思わぬ反響を呼ぶ。翌年には1stアルバム『Krig-Ha, Bandolo!』(73) をリリース、「Mosca na Sopa」のほか、後に映画「シティ・オブ・ゴッド」のサントラにも収録された「Metamorfose Ambulante
Metamorfose Ambulante
Metamorfose Ambulante」、「Ouro de Tolo」(カエターノ・ヴェローゾのカバーが有名)などが話題を呼ぶ。
また、このアルバム制作のときから、小説「アルケミスト」の著者として日本でも有名なパウロ・コエーリョがパートナーとして加わり、二人は長年に渡って神秘的で俗っぽさのない世界観をもった曲を世に送り出していく。なかでも特に「Gita」、「Sociedade Alternativa」、「Tente Outra Vez」、「Rock do Diabo」、「Ha 10 Mil Anos Atras」などが国内ヒットを記録した。
パウロ・コエーリョとのコンビを解消した後の77年には「O Dia em que a Terra Parou」、そして後にハウルの代名詞となった名曲「Maluco Beleza
Maluco Beleza
Maluco Beleza
」が大ヒット。この曲「あんたが一生懸命マジメな人生を送ろうとするなら、おれはカッコよく狂ってみせてやるよ」という歌詞から感じ取れるように、自由への賛歌として今でも若者の間で広く愛されている。
80年代に入ってもハウルは「DDI (Discagem Direta Interestelar)」、「Carimbador Maluco」、「Capim Guine」、「O Trem das Sete」、「Cowboy Fora da Lei」などのヒット曲を生み出していくが、同時にレコード会社とのいざこざは絶えなかった。そんなストレスからか、ハウルはだんだんと酒に依存するようになり、アルコール中毒になってしまう。
88年にはアルバム『A Pedra do Genesis』をリリースする。そしてハウルを崇拝するサルヴァドールのパンクバンド、Camisa de Venusのボーカル、マルセロ・ノーヴァに誘われ共演ツアーを行った。この模様はブラジル・ロック史に残るライブアルバム『A Panela do Diabo - Raul Seixas & Marcelo Nova』(89)に収められた。そしてこれが彼自身がリリースしたアルバムとしては最後となる。
ハウルは89年、過度のアルコール摂取によりすい臓病を患い、サンパウロにて死去。しかし彼の死後もライブ音源、リマスター盤、トリビュートアルバムが絶えずリリースされている。
最近のトリビュートアルバムではブラジリアン・ポップスの新世代マルセロD2、ガブリエル・オ・ペンサドール、ピチィ、CPM22やゼリア・ドゥンカン、カエターノ・ヴェローゾなどをステージに集めたライブ盤『O Bau do Raul - Uma Homenagem a Raul Seixas』(04)はファンの間でも高い評価を得ている。
ハウル・セイシャスはブラジル音楽界の後の世代に大きな影響を及ぼした特別に型破りな存在なのである。
♪代表曲
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METAMORFOSE AMBULANTE
METAMORFOSE AMBULANTE
METAMORFOSE AMBULANTE
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MALUCO BELEZA
MALUCO BELEZA
MALUCO BELEZA
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