「カエターノ・ヴェローゾ
〜 破天荒な天使」

「私は年老いたバイーア男、そこらの誰か、そこらのカエターノ、人ゴミを押しわけ、和音を無視し、時代の流れに逆らう」-カエターノ・ヴェローゾは優しい乱暴者、野蛮な信徒、温和な反逆者、頼もしいあまのじゃく、白痴の哲学者、好戦的な平和主義者、ダサくて粋な男、謝らない善人。
 
単純に言えば、カエターノはブラジルで活動中の最高の芸術家ではないだろうか。1942年バイーア州の田舎町で生まれたカエターノ・ヴェローゾは今年で62歳だが、彼ほど若々しいアーティストは他にいない。彼の創作は独特のメロディーであり、詩であり、映像であり、破壊思想であり、単純な音楽の域を超え人間の活力の源へ直接訴えかける。政権を転覆させるほどのパワーがあると思えば、見るに堪えない大失敗をしたりもする。
 
同世代のミュージシャンが年々丸みがかっていくのに比べ、カエターノはいつまでも尖ったままだ。そのあり方はこれまでリリースした40枚以上のアルバムすべてに窺える。最新アルバム『A Foreign Sound』(2004)はアメリカのスタンダードナンバーを全曲英語でカバーしているが、アメリカらしさどころか、更にカエターノらしさが浮き彫りになっている。
 
カエターノの本質は"人を惑わす"こと、人々は彼を好きになるか、嫌いになるかのどちらかで、無関心ではいられない。表現方法も音楽に留まらず、映画の制作、本の執筆と様々なジャンルに渡る。来日公演も97年を最後に2度行っている。
 
今さらだが、カエターノやジルベルト・ジルらによる音楽ムーヴメント"トロピカリズモ"がなければ、ブラジル音楽は多くの国のように"ロック"と"その他音楽"の二つのジャンルに完全分離されていたかもしれない。そんなことは意にも介さないカエターノは還暦を過ぎてもチャレンジを続ける。汚れることを恐れない、破天荒な天使だ。
 
カエターノの殆どのアルバムは日本盤で発売されており、初めて聴く人には彼の40年のキャリアの中から各時代の名曲を集めた『アントロジア〜オールタイム・ベスト』または『シネマ・カエターノ』などでひととおり聴いてみることをお勧めする。

→カエターノ来日記念特別編


♪代表曲
ODARA ODARA ODARA
O LEAOZINHO O LEAOZINHO O LEAOZINHO
DESDE QUE O SAMBA E SAMBA DESDE QUE O SAMBA E SAMBA DESDE QUE O SAMBA E SAMBA
VOCE E LINDA VOCE E LINDA VOCE E LINDA
SAMPA SAMPA SAMPA
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